厚生労働省によると、2020年12月時点で、衛生行政機関・保健衛生施設で働く薬剤師は6776人で、全薬剤師の2.1%が行政機関で働いていることになります。
公務員で働く薬剤師は国の機関で働く「国家公務員」と地方自治体で働く「地方公務員」に分かれます。
薬剤師として行政機関で働くには、薬剤師資格のほか公務員試験に合格する必要があります。
国家公務員の試験は「総合職(院卒者、大卒程度)」と「一般職(大卒程度)」、「専門職」、地方公務員の試験は、上級(大卒程度)、中級(短大卒程度)、初級(高卒程度)に分かれています。
給与は国家公務員、地方公務員、採用された地域によっても異なります。
国家公務員の場合は、国家公務員棒給表(二)をもとに基本給が決まります。
地方公務員はこの表を基準として、自治体ごとに決まります。
国家公務員の場合、中央省庁での政策立案に関する仕事が多く、地方公務員は住民の健康を守るための保険衛星、環境衛生が主な仕事です。
・国家公務員
【厚生労働省】
薬剤師の就職先として多いのが厚生労働省です。
国の政策立案に関する事務系業務に従事します。
業務内容は、医薬品の承認・審査、薬剤師行政の企画・運営、医薬品の副作用対策などです。
薬学の他、化学や法律などの知識も求められます。
地方自治体、研究所、大学病院との人事交流、海外の保健機関(世界保健機関など)への出向、留学もあります。
主な部局 | 業務内容 |
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医薬・生活衛生局 | 医薬品や化粧品などの有効性・安全性の対策 |
健康局 | 保健所などを通じての感染症の予防 |
地方厚生局 | 全国に8ヶ所ある出先機関。麻薬捜査官もここに所属。 |
【国立医薬品食品衛生研究所】
医薬品、食品、生活環境に存在する化学物質について、品質や有効性、安全性について試験・研究を行う。
・地方公務員
薬剤師の働く職場は、保健衛生、環境に関する部局。
本庁の医療・保健行政部局をはじめ、保健所、衛生研究所、公立病院などがあります。
主な勤務先 | 業務内容 |
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本庁 |
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保健所 |
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衛生研究所 | ・地域住民の健康被害の予防、感染症の拡大予防のため、食品、水、医薬品などのサンプル調査を行い、細菌、ウイルス、食中毒などを定期的にチェックする。 |
公立病院 |
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麻薬取締官:673.2万円
自衛隊薬剤師(薬剤官):398万円~826.9万円
刑務所薬剤師(法務技官):609.3万円
学校薬剤師:地域・働き方による
国家公務員の場合、全国に転勤の可能性がありますが、地方公務員の場合、県内での転勤摂るケースが多いです。
国家公務員(医療職棒給表適用職員)の転勤割合は約2%で行政職の約12%、公安職の約19%に比べるとかなり低くなっています。
福利厚生、子育て支援は充実しており、女性が仕事を続けやすいのが特徴です。
転職に際しては、公務員試験に合格する必要ががあります。
また年齢制限に注意が必要です。
国家公務員・麻薬取締官の年齢制限は30歳未満、地方公務員の年齢制限は各自治体によって異なります。
東京都の場合、経験者(主任)であっても36歳未満です。
募集が非常に少ないため、転職となると相当な覚悟が必要になります。
厚生労働省の場合、毎年数名しか採用されていません。
地方公務員の場合、公立病院がたまに直接募集していることがあるので、チェックするとよいでしょう。