治験業界には、CRO(Contract Research Organization)とSMO(Site Management Organization)の2種類の企業があります。
CROは開発業務受託機関ともいい、製薬会社を支援します。
日本CRO協会によると、2021年の会員会社の総売上高は2,255.6億円と前年度より20.8%増加しました(※1)。
SMOは治験施設支援機関ともいい、病院・クリニックを支援します。
日本SMO協会によると、売上高(SMO事業のみ)は343億6619万円で前年度より9.9%増加しました(※2)。
売り上げは伸びていますが、将来的には横ばいから減少に転じる可能性も指摘されています。
成長性に関しては期待できないかもしれませんが、CRO・SMOに一定の求人があります。
製薬企業の研究開発費が拡大する中、臨床開発のアウトソーシングが進行中です。
また治験業界は国際化が進んでいくと予測されています。
現在、国内で行われている治験のうち2、3割が国際共同治験です。
したがって、世界市場で日本の治験企業が生き残るには、業務効率化に伴うコスト削減と治験の高品質化が必要と言われています。
オーファンドラッグの開発、再生医療など、新薬開発は多様化し専門性も高まっています。
そのためCRO・SMOのさらなるスキルアップ、専門知識の習得が求められています。
CROでの主な職種が臨床開発モニター・CRA(Clinical Research Associate)です。
日本CRO協会所属のCRAは7,469人。
製薬会社からの依頼を受け、医療機関でのモニタリング業務をサポートします。
ほかにCRAが収集した情報をデータ化するデータマネジメント(DM)、データを生物統計で解析し、医薬品の有効性や安全性をまとめあげる統計解析(SA)、CRAが収集した情報の内容をチェックする品質管理(QC)などの職種があります。
SMOでの主な職種が治験コーディネーター・CRC(Crinical Research Coordinator)です。
日本SMO協会所属のCRAは2,709人。
CRCは治験資材の確認、被験者のスケジュール・体調管理、治験データの管理、治験担当医師のサポートなどが主な業務です。
被験者、医師、看護師など様々な関係者と連携を取りながら、業務を進めていきます。
ほかに医療機関との契約書作成や治験の運営、文書の作成など事務業務を担う治験事務局担当者(SMA)という職種もあります。
基本的には土日が休みです。
CROは出張がありますが、SMOは少ないです。
CRCと比較するとCRAの方の残業がやや多めですが、深夜勤務がなく女性でも働きやすい職種です。
CRO・SMOへの転職に際しては、マイナビ薬剤師、リクナビ薬剤師など企業や都市部の薬剤師求人に強い転職サイトを利用するとよいでしょう。