製薬企業への転職

製薬企業への転職

製薬企業への転職について、医薬品業界の概要、展望、業務など最新情報をまとめています。

製薬会社への転職

製薬業界の概要

2021年の日本国内の医療用医薬品市場規模(IQVIA調べ)は、10兆5990億円(前年比2.2%増)で世界3位の市場規模を誇ります。

 

ただし、2025年までの世界医薬品市場予測(※)では、日本の年平均成長率(21年~25年)が-2%~1%と低成長に留まると予測されています。

 

2021年度からは薬価改定が毎年行われるようになり、医療費の抑制がより推進されています。

 

ジェネリック医薬品の普及が促進され、国内メーカーの海外進出により国内の主要製薬会社(12社)の海外売上収益比率は、64.2%となりました。

 

大手医薬品メーカーによる大型買収やM&Aなど大規模再編が続いていましたが、現在は落ち着いています。

 

製薬業界 平均年収ランキング(2020- 2021年)

順位 会社名 年収(万円)
ソレイジア・ファーマ 1,480
EPSホールディングス 1,253
シンバイオ製薬 1,170
そーせいグループ 1,151
アンジェス 1,149
第一三共 1,116
中外製薬 1,100
武田薬品工業 1,076
サンバイオ 1,071
10 アステラス製薬 1,051
11 エーザイ 1,042
12 大塚HD 991
13 ペプチドリーム 976
14 大幸薬品 960
15 小野薬品工業 937
16 ジーエヌアイグループ 905
17 塩野義製薬 902
18 大日本住友製薬 896
19 キョーリン製薬HD 887
20 協和キリン 877

 

製薬業界の展望

「産業ビジョン2025」(日本製薬工業協会)の「創薬イノベーション」として、革新的な新薬の創出する意向を示しています。

 

それに対して、国は薬価の引き下げを推進。

 

イノベーションへの投資を阻害するとして、業界と国のせめぎ合いが続いています。

 

・薬価制度改革

 

薬剤費を抑えるため国は、薬価改定の抜本的な改革を進めています。

 

従来、2年に1回だった薬価改定は2021年度から毎年改定となりました。

 

また革新的な新薬の価格の引き下げを一定期間猶予する「新薬創出加算・適応外薬解消等促進加算制度」の要件が厳しくなるなど、製薬業界全体として、厳しい状況が続いています。

 

・薬機法改正

 

薬機法改正で、医薬品の承認に関する「先駆け審査指定制度」、「条件付き早期承認制度」が法制化されました。

 

革新的な新薬について、早期に実用化できるよう体制整備が進んでいます。

 

・バイオ医薬品

 

遺伝子組み換えや細胞培養などバイオテクノロジーを用いて作られる医薬品、バイオ医薬品の市場は活況です。

 

近年、製薬企業はがんや認知症といった有効な治療法や医薬品がなく、満たされない医療ニーズに応える薬の研究・開発に力を入れています。

 

またiPS細胞技術を活用した創薬開発を手掛ける企業に期待が高まっています。

 

製薬企業の業務

薬剤師が製薬会社で就く職種として、MRや創薬研究職のほか、臨床開発職や学術職、生産管理職などがあります。

 

職種 転職難易度 業務内容
MR ★★

医薬品の情報提供・収集・伝達
自社医薬品の普及

創薬研究職 ★★★★★

創薬標的分子の探索薬効、薬理業務
全臨床試験 製剤研究

臨床開発職 ★★★★★

診療試験実施計画書の作成臨床試験(治験)の実施
モニタリング

近年、MRは減少気味で、薬剤師資格は不要ですが、医薬品に関する専門知識を有することから、ニーズがあります。

 

製薬会社においては、比較的転職しやすい職種だといえます。

 

創薬研究職は創薬標的分子の探索や製剤研究を行います。基礎から臨床まで幅広い研究を実施します。

 

臨床開発職は医薬品としての可能性が認められた化合物について、人体への有効性と安全性を臨床試験(治験)で調べます。

 

研究職、開発職に関しては、募集人数が少なく、大手製薬会社への転職は旧帝大卒がほぼマストです。