調剤薬局は60,171軒(2019年度末時点)あり、コンビニエンスストアよりも店舗数が多いです。
現在は門前薬局、ドラッグストア併設型、小規模薬局などあります。
今後薬局の数は減少すると予測されますが、在宅医療を支える重要な役割を担っていくと考えられています。
業界規模は、9000億円台で、全体的に経営は厳しい状況にあります。
2021年の調剤薬局業界の大きなニュースとして、「さくら薬局」の破綻がありました。
業界に衝撃が走った年です。
負債総額1000万円以上の企業倒産は6030件中、調剤薬局が26件と多かったことが、業界の厳しさを物語っています。
ただ2020年度の調剤費は2.7%の減少でしたが、2021年度は増加に転じています。
2021年8月からは、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の2つの認定が新たにスタートし、薬局ごとの特徴が鮮明になっていく傾向が出てくるでしょう。
薬剤師求人に関しては、大手薬局チェーンを中心に中途採用に積極的です。
ただし、経営状態について注視しておく必要があります。
ちなみに、現在の大手薬局チェーン上位10社の一覧は以下の通りです。
順位 | 社名 | 処方箋応需店舗数 | 調剤報酬額 |
---|---|---|---|
1 | アインホールディングス | 1,065店舗 | 2,973億円 |
2 | 日本調剤 | 669店舗 | 2,789.5億円 |
3 | クラフト | ‐ | 1,907億円(破綻) |
4 | 総合メディカルホールディングス | 737店舗 | 1,639.2億円 |
5 | クオールホールディングス | 782店舗 | 1,618.3億円 |
6 | I&H | 563店舗 | 1,242.9億円 |
7 | メディカルシステムネットワーク | 416店舗 | 1042.5億円 |
8 | 共創未来グループ | 543店舗 | 910.9億円 |
9 | アイセイ薬局 | ‐ | 673.5億円 |
10 | ファーマライズホールディングス | 298店舗 | 523.2億円 |
※ドラッグマガジン 医薬品産業ランキング2021年ポケット版より抜粋
今後、2022年度の調剤報酬改定の影響も懸念されており、近年は中堅チェーン同士の合併などが多く見られ、業界再編が進んでいくことが考えられます。
今後も調剤報酬や薬価の引き下さげは行われると推測されるため、経営の安定化と事業規模拡大に向けて、大手の調剤薬局チェーン経営企業はシェアの拡大に注力し、再びM&Aが加速化する見込みです。
そのほか在宅医療の推進に伴う薬剤師の業務の拡大、オンライン服薬指導の一般化、調剤併設ドラッグストアの拡大化も一層進んでいくでしょう。
薬局薬剤師の業務の柱は、「調剤」と「服薬指導」です。
しかし、上述の通り、薬剤師の業務として「対物から対人への業務の転換」が求められ、「服薬指導」がより重視されると推測されます。
薬局薬剤師の転職においては、調剤スキルはもちろんとして、「オンライン服薬指導」、「訪問服薬指導(在宅医療)」、「ポリファーマシーへの介入や残薬管理」、「24時間対応」、「健康相談への対応」などが求められることになる可能性が高まります。
コミュニケーション能力に関しては今まで以上に求められることでしょう。